始まり
シドニーに到着した後、最初に向かったのは事前に予約していた YHA というホステルだった。
新しい場所を歩くことが好きなので、シドニー空港から Central まで歩いて移動した。
途中、喉が渇いてコンビニで飲み物を買いたかったが、500ml のコーラが一本$4.7 と高価で驚愕してやめた。
仕事も住居も未定だったのもありこの先の生活に絶望を感じた。
その日からしばらくはマーケットでお得用っぽいバナナとオレンジだけ食べて生活していた。
ホステルに向かうまでの道は、同じような広く整備された住宅街を突っ切るだけで何一つ面白そうなものはなかった。
フィリピンのような謎ストアや荒廃した迷路のような道は望めなかった。
ただ、日本やフィリピンにはない落ち着きと木漏れ日だけがあった。
ホステルは 4 人部屋でクーラーもなく十分な照明もないが一泊 6,500 円くらい。
たまたま一緒の部屋に泊まっていたネイティブのおじいちゃんがめちゃくちゃ親切な人で、 安く食材が買えるスーパーマーケット(Aldi, Coles, Woolworth)や電車やバス移動に必要な Opal カードの取得方法などを教えてくれて、さらには食料もくれたりしてめちゃくちゃ助かった。
ホステルに滞在している間に部屋探しをし、並行して仕事探しを始めた。
部屋探し
以下のウェブサイトで探すのが一般的
Flatmate
Gum Tree
Jams
Cheers
日豪プレス
フェイスブック
シドニーの家賃の相場は普通に高くて、シドニー近郊でオウンルーム(自分用の部屋)ありのシェアハウスの最低ラインで月 10 万円くらい。
そこらへんにいるタトゥーを入れたチャンネーも普通に外食してるおっさんもこの経済圏で生きることができていてまじですごい奴らだと思った。
最初は、Flatmate でシドニー近郊の安めの物件にアポを取りまくっていたが、20 以上連絡して一度も内見までたどり着けなかった。ちなみに短期間だけ課金もした。
Cheers でも連絡しまくったが最近流行りの「内見できないから即決で決めてお金振り込んで詐欺」のオーナーに 2 回くらい遭遇した。
3 日くらい色んなアポ取りまくって、ほとんど連絡も帰ってこず絶望していた矢先、現地にもワーホリで来る日本人サポートをしているトラトラシドニーのオフィスがあると知って訪問してみた。が特に部屋の紹介などをしているわけではなく、ただ悩みを打ち明けるだけになった。が気持ちは楽になったので感謝している。
そんな矢先急に 2 件同時に内見できることになった。
一つは Gumtree で見つけた物件で、Chatswood 狭い部屋にウガンダから来た男と住む感じで共用のバスルーム。さらにオーナーの夫婦ふたりもも同じ物件に住んでいた。週$ 150
二つ目は Cheers で見つけた Artarmon の部屋、日本&韓国夫婦と猫 2 匹とのシェアハウスでオウンルームありで週$260。自分用バスルームあり。エアコンなし。
結果的にオウンルームと猫の誘惑に勝てず 2 つ目に即決した。が、部屋探しに絶望していたので最悪 1 つ目でもいいかなという気持ちにもなっていた。
オーナーは感じのいい人で終始トラブルはなかった。が、夫側に 200 ドル貸したお金が帰ってきてないことを今思い出した。ただ猫カフェでもできないくらい毎日もふもふしていたので結果得していると思っている。
オーストラリアの家は築年数が 50 年とかはあたりまえで空調設備等が整っていない。その家は壁に天井にカビが生えていたので自分の部屋は常に換気するようにしていた。
エンジニアとしての就活
基本的にエンジニアとしての仕事は以下のサイトを使うのが一般的。
Seek
LinkedIn
私の第一希望は iOS エンジニアとして働くことだったので
Philippine に滞在している時に iOS エンジニアとして働くために LinkedIn を登録しポートフォリオやレジュメを固めておいた。Philippine 滞在中でも複数人からコンタクトをもらったが、Phillippine 滞在中では有効な電話番号や住所がないということで本格的に動くことはできなかった。
オーストラリアで就活するに当たり電話番号と納税者番号と住所と銀行口座を作る必要があった。
- 携帯 SIM:
Lebara。月$14 で 4GB。空港で適当に SIM を選んで iPhone を渡したらセットアップをしてくれた。 - TaxFileNumber
公式サイトで申請する。申請するために住所が必要。 - 銀行
口座維持費が無料だったので NAB という銀行を選んだ。入国してからすぐであればパスポートと住所だけで口座開設できるとのことだった。
上記を揃えたところで、Seek で目に入るほぼすべての求人に応募した。
また、LinkedIn では自分のプロフィールを観た人事から無数に連絡をもらったので、全てに興味がある旨を伝えた。
選ばなければすぐに仕事が見つかるだろうと思っていたが、甘かった。
どうやら ワーホリビザはガチで歓迎されてないっぽかった。連絡がついたとしてもまず VISA を聞かれてワーホリと分かった瞬間に連絡が途絶える。親切な人事が教えてくれたが、ワーホリは就労制限があり 6 ヶ月上限でしか同じ職場で働けないのでワーホリビザでエンジニアとして働くのは難しいとのことだった。確かにエンジニアの仕事は 1,2 ヶ月は慣れるのに吸収されるし 4 ヶ月ではそこまで大きな案件を抱えることもできないので理解はできる。
そこでワークビザを貰えれば長く働きたいという旨を伝えるようにしたが、結局 VISA のサポートで手続きが必要で easy ではないとのことで見送られた。
オーストラリアにも Hays 等の SES 的な企業があったので搾取覚悟でオフィスまで入って話をしてきたが、そこでもやはりワーホリビザだと受け入れが難しいとのことでお見送りになった。
そこで信用を勝ち取れるほどの英語力があればやりようはあったと思うが、そもそも十分な英語力があればワークビザをゲットしていただろう。
かくして iOS エンジニアとして働くのは諦めたのだった。(もしかしたら Web エンジニアならもっとカジュアルに採用されたかも)
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カジュアルとしての就活
カジュアルというのは正社員ではなく、一時的に働く人のためのポジションである。やめたければ即日やめられるし、雇用主も即解雇することができるというものだ。ワーホリビザ保持者は基本このポジションで働くのが普通である。
そもそも、エンジニア以外の職で働く必要があったのかという感じだが、せっかく海外で働ける資格があるのと、似た境遇の知り合いにも会いたかったので就活をすることにした。
最初は英語話せる環境がいいと思い地元のスーパーなどに応募したが、連絡が帰ってこなかった。。オーストラリアでは部屋探しでも仕事探しでも連絡が買ってくることは稀である。
結局日豪プレスで見つけた餃子工場に応募したら即面談してくれてそこで働くことになった。
週五で朝 7:30〜15:00 までの 7 時間半労働。
オーストラリアでは最近ワーホリが人気ということもあり、職や部屋も足りてない状態らしい。その中で安定して働ける場所が見つかることはラッキーらしい。
iOS エンジニアから工場勤務に転職した人間はおそらく世界初だろう。当初の目標と照らし合わせるとかなり謎な状態であった。
工場勤務
もともと少し経験したらやめようと思っていたが結局 5 ヶ月続けた。
理由はそこでの業務が自分の最も苦手でトラウマでもあるリアルタイムな判断と連携が必要且つ間違えると怒鳴られるフィジカルワークだったからだ。
学生時代にバスケ部に在籍していたが、当時はリアルタイムで周りを把握することができず、自分の個人技も芳しくなかったため、団体スポーツにおいて無力感を覚えていた。人との協力作業の際にはまず「人の邪魔にならない」という消極的な目標設定が精神の奥底で刻まれた。
そのため登山、ロッククライミング、プログラミングといった個人競技っぽいことに傾倒してきた。
大学時代は居酒屋でバイトをしていたが、そこでも先輩のような的確なムーブはできていなかった。
以下のツイートがバズってたが、自分の場合は一度経験して結局自信をなくした側なので、経験するしないには良し悪しがあると思う。
「分かる人いると思うんですけど、「上下関係に厳しい部活をやったことがない」ということが
その後の人生すべてにふんわり響いてしまっている気がしませんか?」
https://twitter.com/natsui_tanoshi/status/1646093823297347584
というわけで 30 超えてトラウマを克服するチャンスを得たので完璧に克服するまで帰らない覚悟をしたのだった。
エクストリーム餃子ディスパッチャー
冷凍餃子を材料からつくってパッキングして出荷するというのがその餃子工場の役割であり、私はパッキングチームに配属された。
私の作業は以下のようなもので、10 秒に一度はなにかやることが発生するような忙しい場所だった。同じ工場でもパッキングチームにだけは配属されたくない人は多くいた。
- 餃子の入った金属のトレイが積まれた重い台車をパッキングしているスタッフの手元に持っていく
- パッキング後に空いたトレイを洗浄機に持っていきセット。
- 冷凍前の餃子を冷凍庫内の決められた場所に配置
- 空いた台車を台車置き場に持っていく。
- 手が空いた場合に洗浄後のトレイ回収のサポート
- 手が空いた場合にトレイから餃子を剥がすサポート
最初は台車や積み上がったトレイの扱いも十分にできず周りをみる余裕がなかった。ちょこちょこ怒鳴られた。
学生時代であればそのような技術のない自分を自分で貶めて周りとギクシャクしていただろう。しかし、様々な社会経験を得たおかげだろうか、技術の有無に関わらず人間関係をとりもつコミュニケーションを大切にし、失敗したときにも常に平常心でその場にいることを心がけた。
自分はガチャガチャした場所では耳が聞こえないときが多く、聞き返さないと理解できないこと多くある。
そのような状況でも懸命に接することで、サポートをもらいつつ業務に当たることができる環境が作れた。
プライベートでも色んな人に遊びに誘ってもらえるくらいに人間関係は良好だった。
次第にトレイや台車を早く運ぶための筋肉や技術もつき、周りを見る余裕がでてきた。
数時間の間自分の世界に入ることなく現場にアンテナをはる集中力がついた。
人の目を気にして動くのではなく、場と向き合って最善の手を自分自身で考えて動くことができるようになった。
また作業方法の最適化をできる限り行ったことにより、本来 2 人でないと回しきれなかった作業をワンオペで行えて他のスタッフをサポートできるほどまで成長することができた。
新しく入ったスタッフのメンターを行ったり、全く別の業務のヘルプを頼まれたりした。どうやら自分には何でも頼みやすい特性があるらしい。
最終的にはトレイ回収業務、餃子運び業務、パッキング用箱作成業務を工場最速レベルでこなせるようになった。そして帰国することを決めた。
上記はエンジニアとしてはほぼ価値のない経験ではあるが、心情的には失った自信を取り戻すことができる非常に有益な機会だった。
その他
飯
基本的にまずくはないがめちゃくちゃうまいということもない。値段も高い。 その中でも美味しかったのは以下。
- Artarmon の Food Fusion のカレー
- Coles にある Ristorante の冷凍のピザにモッツアレラチーズとアンチョビをプラスしたやつ。
- スーパーにあるスムージー的なフルーツジュース、種類が豊富
- スーパーで買えるヨーグルト
- スーパーのガソリンみたいな容量のコーヒー牛乳
- シドニーフィッシュマーケットの GetFish という店のサーモン寿司
- Chatswood にある
なか乃
という日本食店
観光
移動は電車、バス、フェリー。シドニーで使える Opal カードという SUICA みたいなカードがある。そこらへんの店でカードは買える。アプリや店からチャージして使う。 シドニーで行ってよかったのは以下
- クジラウォッチング
フェリーで沖まででる過程でハーバーブリッジやオペラハウス、ワトソンズベイを眺めることができる。 - カジノ
日本にないので新鮮。友達とちょこちょこ行くと盛り上がる。ルーレットは完全運とわかりつつもノリで分析アプリを作った。TCA や SPM モジュールを使って作った。 - ニューサウスウェールズ美術館
日本人が設計したらしく草間彌生や村上隆の作品がドカンと展示してある。広くていい景色。のんびりできる雰囲気がとても良かった。 - Blue Mountain
日本ではみれないようなジャングル、切り立った崖を一望できる。上から眺めるだけじゃなくて谷に降りるのがベスト。ユーカリパワーの為かオーストラリアにいそうなクリーチャーにもエンカウントせずに颯爽とした空気だけを体験することができた。
画像
画像 | 説明 |
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ホステルで話したネイティブのじっちゃんが手紙とともに食料をおいて行ってくれた。そのじっちゃんが安いスーパーマーケットや Opal カード、職の探し方について教えてくれた。優しさに感動した。 | |
しばらくこのお得用オレンジジュースの世話になりまくった。 | |
ゴミ鳥って呼ばれてるモブ鳥 | |
デカペリカン | |
野生のきれいな鳥 | |
ハーバーブリッジ | |
癒やされる町並み | |
一緒に住んでたかわいいかわいい猫 | |
同僚との飲み | |
VIVID という街全体がネオンに包まれるイベント | |
VIVID という街全体がネオンに包まれるイベント | |
VIVID という街全体がネオンに包まれるイベントのドローン SHOW | |
カジノ。最初はピンポイントで当てていく戦法だったけど、普通に赤黒のマーチンゲールを赤が 5 回出た後に行うという手法だとお気持ち的な安寧を保てるということ知った。結局計算すると負けて当たり前なのだが。 | |
ブルーマウンテンの絶景 | |
日本ではあまり体験できない深い森 | |
ブルーマウンテンの夜空。iPhone でとってもわかるくらい綺麗 | |
エモい朝焼け | |
職場で出会った友達 | |
GetFish のサーモンうまかった。 | |
美術館の村上隆の作品 |
動画
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